※内容はBLですが、タイトルのとおり生理に関するネタを含みますので苦手な方はご注意ください










先月は十五日、その前はたしか二十日。

それより先は覚えていないけれど、だいたいおんなじ時期だろう。今週の日曜日は二十三。じゃあ、その日でいいや。そう思って部活の帰り岩ちゃんを部屋に呼んで押し倒した。

ついこのごろ半そでに替わった制服をつかんで強引に引き倒すと岩ちゃんは驚いた顔で抗議したが、壁にかかったカレンダーをにんまりと指せばすこし気まずい顔をして目をそらしてくれる。俺のする悪いことを見逃してくれるときの岩ちゃんの顔、大スキ。

でもかわいいねって言うとけっこう壮絶な腹パン食らうの知ってるから今は言わない。かわりにちゅっちゅと両の頬にキスを落としてそれからごめんネと笑う。

「ひどくするけど、岩ちゃん、いいよね」

返事がないのは「いいぞ」か「うれしい」の証拠だった。(俺が勝手にそう思ってるだけだけれど、超絶信頼関係の俺たちだからきっと合っているにちがいない)この場所で何回も俺に抱かれているくせに岩ちゃんは布団の上で戸惑ったように身を小さくして、期待に赤く染まった目で必死に天上の染みを数えるふりをしていた。

俺は自分のタイをするりと放り投げ首元をゆるめ、にやける口元でその首筋にガブリと噛みつく。組み敷いた男は低い声でうめき、舌の上にはじわりと鉄くさい味が広がって切れたのがわかる。ぺろりとその跡をなぞるように舐れば岩ちゃんは身をよじって嫌がったが気にもしなかった。(だってこれは岩ちゃんが望んだことだ)
暴れる掌をつらまえてぎゅうっと恋人つなぎをすると、俺の手に絶対キズをつけない男は困ったように太い指を泳がせて愛おしかった。

月に一度、岩ちゃんのことをとびきりひどく抱く。
噛みついて、服を剥いて女のように脚を開かせて突っ込んで、つながったところがぐずぐずに切れて血が出るようになるまで恋人を犯す。声が枯れ果てて男だか女だかわかんなくなるまで、白いシーツがまるで減血のような鮮赤で染まるまで俺たちはくだらない生理ごっこをする。いつからの習慣かはあまりよく覚えていない。ただ岩ちゃんがいつだったか俺と寝たあと、

「女だったらお前のことちゃんとよくしてやれたのに」

って布団の中でつぶやいたからその日に始まった。そうしてそれからはおおよそ二十八日の周期で岩ちゃんを生理にしてあげている。

口に突っ込んで乱暴に腰を揺らすと、岩ちゃんはこらえきれない涙を目の端からこぼしてむせた。俺も男で岩ちゃんも男で、普段なら同性のプライドがあるからそんなこと絶対にしないのに今日は強引に短い髪をつかんで前後に揺する。岩ちゃんはあぐあぐとえづきながらも必死にくわえてくれる。生理の日の岩ちゃんはいつもよりすこしおとなしくて、女みたいに従順だ。口の中のつくりは男でもあまり変わらないからと、一生懸命舐めてくれる姿にそそられる。

重たい熱はすぐに下腹に溜まって俺は岩ちゃんの頭をぽいと放した。
布団の横に置いてあったゴムを手にして岩ちゃんの上でさっさとつける。だって妊娠しちゃったら困るもんねと軽く言えば岩ちゃんはぎろりと俺をにらんで太ももをぺちりとたたく。両足をカエルみたいに開かされていたんじゃちっとも怒っているようには見えなくておかしかった。

笑いながら突っ込めばちっとも慣らしていないそこはかんたんに切れたようすがあって、岩ちゃんは大きくあごをのけぞらせて喘ぐ。普段はエロ話のひとつもしない堅物むっつりのくせに本当は結構M入ってるから岩ちゃんてやらしいと思う。やらしい岩ちゃんの喜ぶところをせめて痛くないように擦ってあげる。あっあっと引き攣れそうな声で岩ちゃんは善がる。ちらりと見下ろせばシーツにはすでに一滴伝い落ちて赤い水玉がひとつできていた。

「ねえ今日何日目なの?」

腰を揺らしながらからかうようにたずねるけれど、岩ちゃんにはもう答えられるほどの理性がない。血がにじんで滑りがよくなったから、女みたいにあんあん鳴くばかりでなにも考えられなくなってしまっている。

無骨な身体を抱きしめてかわいいねと今度こそささやいた。ぴくり、震えた岩ちゃんの腕はゆっくりと俺の背中に伸びる。目の奥はほとんど焦点が合っていなくて意識もおぼろだろうに、俺がその言葉をくちにすると岩ちゃんは無意識に嬉しいのかいつもこうしてくれる。そんな仕草がいとおしくてまた奥をめちゃくちゃにする。

岩ちゃんはびくびくと足を泳がせて俺との子どもになるはずだったものをお尻からこぼす。母親には永遠になれない岩ちゃんはひどく切なくて、とてもきれいだ。したたり落ちるさまをながめながら俺は射精した。岩ちゃんは俺が出したのに気づくとひどくほっとしたような顔をして自分の下腹に手を伸ばす。がっしりと筋肉のついたやわらかみのない、大人の男になりかけている器官だった。

数時間をかけて行為を終えると、俺は岩ちゃんの身体を丁寧に清めて傷ついた場所にそっとお薬を塗った。明日は部活がないから激しく動かすこともないだろうけど、ちょっとでも痛いのが残るのはかわいそうだ。岩ちゃん足上げるね、はいじっとしてね、ちょっとひやっとするよー。疲れ切った岩ちゃんを和らげるようにわざと明るく言ってクリーム状のお薬を塗って、親指でぬめりをぬぐって蓋をする。岩ちゃんはくたびれ果ててもう声も出なかった。下着を履かせて服を着せ、それから頭を撫でてあげる。きもちいいのか、ん、とおでこがかすかに押し当てられてきゅんとする。

――ねえ、岩ちゃん。

「子宮なんてなくたって、俺は岩ちゃんの方がずっと好きだよ」

生理のあと、決まって口にする言葉をいえば岩ちゃんはぼんやりと顔を上げ、それからまなじりをゆるめてふわりと俺にほほえむ。皮肉なはなし、それは母性みたいなものをたまらなく感じさせる表情だった。



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生理厨生きるの楽しい。楽しいよ。゚(゚^o^゚)゚。
(2013.1124)